Redécouvrez la musique familière
朝は古楽の森でバロックドラクエの楽しみ
最終更新:2025年10月30日
大バッハ、中バッハ、小バッハの各バッハと首都圏のその他のバッハ:千葉ゆかりの「すぎやまこういち」。YouTubeのCD音源でゲーム音楽の源流へ。ゲームについても音楽についても特にファンというわけでもマニアというわけでもない人間がアナログのFM放送で夜となく昼となくクラシックを聴き続けながら駅では電車のVVVF音や発車メロディーを愛でつつ思い出したように「ドラクエ3」をプレーする中でそこはかとなく濃厚に感じる「ドラクエ3の音楽」への物足りなさについての本邦初の詳稿。30年来の日常習慣としての音楽体験に基づき次世代のゲーム音楽を夢想する。
- 音楽の教科書「鑑賞共通教材」廃止後の模索:
地域や世代を超えた「共通」の鑑賞体験を生み出していた「鑑賞共通教材」。「戦後」と「自由」と「(敗戦国の)復興」のシンボルだった「バロック音楽」。先入観を持たない『ドラクエ以後』の世代は何をなすべきか。「オペラ」から「映画音楽」へという音楽史の中に「ゲーム音楽」を位置づけるとともに、「コンピュータ支援教育(CAI)」としての作編曲の可能性を探る。東京と神奈川で乱立する私学が抱える課題についても考える。 - ロト完結編「ドラクエ3の音楽」とは:
「RPG」の代名詞「ドラクエ3の音楽」は『ザ・ゲーム音楽』。作曲だけでなく様々なエンジニアリングの工程を経た実機の出力波形こそ『オリジナル』。「すぎやまこういち」だけのものではないのだ。「演奏における楽曲研究の必要性」を踏まえ、「ドラクエ3」の「船」「塔」のBGMの音色の意味を考える。スーパーファミコンの前夜ともいうべき時期に発売されたファミコンの「ドラクエ4」と「ドラゴンボールZ」のサウンドとも比較する。 - 駅とコンビニの「音風景」30年:
ヤマハが独占した「FM音源」。ファミコンのソフトの開発にも使われた「PC-9801VM」の発売と普及。「ドラクエ」は「昭和から平成へ」という時代の節目のシンボルとして記憶され続けている。同時期に登場した「駅の発車メロディー」と「ファミマ入店音」にも着目しながら「1980年代のテレビで楽しむファミコン」の画質と音質についての正確な理解を目指す。「ドラクエ4」と「スーパーファミコン」への「自粛ムード」の影響を探る。 - 放送100年と「序曲」の概念:
「序曲」はオペラとともに誕生した概念。新作オペラの受容にも似た構図で「ファイナルファンタジーの音楽」は世界的な人気を獲得している。その下地となった「ドラクエ3の音楽」が各国で知られるようになったきっかけは「ニュース素材」だった。「発売日の行列」というニュースがなかったら「ドラクエ」は新宿から出ることはなかったのかもしれない。放送局における「素材」としての音楽と「ゲーム音楽」との相似についても検討する。
- 自称『画期的な新説』:
中学・高校の社会科(地理・世界史・日本史)に取材した作品である「ドラクエ3」。最初の目的地「ナジミの塔」は1988年に開通した青函トンネルと瀬戸大橋の印象が混ざったもの。楽曲の背景の理解は鑑賞にも演奏にも必須だ。先行作品「オホーツクに消ゆ」についても承知しておく必要がある。できることなら「間宮林蔵」を「伝記」ではなく「日本史と世界史に跨る歴史」として学びたいが、それには社会科の授業時間がまったく足りない。
- 銀色の「ニューメディア」:
「レトロ」と「チープ」は同義ではない。当時最新のテレビにはパソコンのモニターに取り付けるのと同じフィルターが標準装備で、リビングに置く19型や20型のテレビは大型のスピーカーにも迫る音質を実現していた。子ども部屋に追いやられた14型のテレビだけが「ファミコン」ではないのだ。 - トールキンの「ホビット」とレゴの「森の人」:
「ドラクエ3」の「ホビットのノルド」がリメイク版では「ドワーフ」に。同時期のレゴブロック「お城シリーズ」における「森の人」からディズニーアニメの「ロビンフッド」までを概観する。あわせて、京王線の「野ばら」と日活、小田急線と読売日本交響楽団というコアな話題も取り上げる。 - 紹介したCD音源の一覧:
ルーラは花道。「すぎやまこういち」を追体験せよ。「ラモー」と「ピアソラ」から「ポセイドンの夢とささやき」まで。(3時間55分) - ドラクエよりもドラクエな音楽を!(ごきげんよう):
NHK-FM「古楽の楽しみ」「クラシックの庭」などで放送された「ドラクエ感」のある音楽(※当社比)を独断と偏見で紹介。(99分02秒)
Que les petites cellules grises et le chat calico capricieux de trois périodes soient avec vous !
初出:2024年11月14日