DQ3 THE WORLD TOUR ZOO
最終更新:2025年11月2日
2024年11月14日にHD-2D版が登場した「ドラクエ3」。オリジナルのファミコン版「ドラクエ3」が『社会現象』とまで呼ばれる大ヒットを記録した背景には、学校の社会科の勉強とつながる「世界地図」のビジュアルが前面に据えられていたことが挙げられよう。ここでは社会科(地理歴史)と音楽をつなげた総合的な学習を模した構成で世界各地の特色あるクラシック音楽を楽しむ。鑑賞の一助として、各地の食習慣などのほか、ドラクエ3に出てくる動物のモンスターについてまとめる。ファミコンのサウンドと同じようにシンプルな響きで想像がかき立てられるピアノ版(編曲版や2台のピアノで引く4手版を含む)を中心に聴く。紹介したCD音源はYouTubeのほか、音大や公立図書館での活用例が多いナクソス・ミュージック・ライブラリー(NML)でも聴ける。各楽曲には演奏時間と録音年を示した。「クラシック音楽は古めかしくて重々しい」という先入観を和らげるべく、比較的『新しい録音』を積極的に紹介する。リンク先では演奏者のプロフィールや録音場所などの詳細が確認できる。合計4時間20分ほどの音源を紹介するが、放送とは異なり音源ごとに音質や音量にばらつきがあり、金属的なピアノの音でもあるため連続での聴取は避けてほしい。(1回45分なら6回。)なお、香港のレーベルであるナクソスは「世界初録音」となる“埋もれた”クラシック音楽の発掘で定評があり、結果としてナクソスの音源を多く紹介することになる点はご承知おきいただきたい。2020年以降の『新しい生活』は大きな転機である。これまでの日本における「交響曲」一辺倒の鑑賞と「実技」最重視の器楽曲という“分断”された音楽体験をつなぎ直すことができれば幸いである。すべての大人には、子どもに対して模範を示す責務がある。誰よりも「子供騙し」を嫌った「すぎやまこういち」亡き後のいま、しがない職業的作曲家あまつさえアマチュア同然の編曲家といった個人のスター性に頼ることなくアカデミックな調査研究の積み上げから『新しいドラクエ3の音楽』が生まれることを期待する。【小学校高学年から】
- ノアニール:
北欧っぽいエピソードが描かれる「ノアニール」。その雰囲気を「グリーグ」の楽曲とともに楽しもう。(1時間17分) - ロマリア:
その名に反してスペインっぽい空気感を持つ「ロマリア」。スペインの国民的作曲家として名高く「スペインのグリーグ」とも呼ばれた「グラナドス」の楽曲を聴いてみよう。(57分) - サマンオサ:
ポルトガルの植民地から南米最大の国となったブラジルの混乱を寓話的に表現した「サマンオサ」。クラシックの技法にブラジル独自の音楽を取り込んだ作風で知られる「ヴィラ=ロボス」が「アマゾン」を描いた楽曲を聴いてみよう。(14分26秒) - エジンベア:
田舎者と言ったほうが田舎者「エジンベア」。なんと「造船所の徒弟」を経て「イングリッシュ・コミック・オペラ」と呼ばれる英語と民謡を用いたミュージカルを成功させた「シールド」について調べてみよう。(1時間04分) - アッサラーム:
その名に反してトルコっぽい空気感を持つ「アッサラーム」。ヨーロッパの作曲家が「異国情緒」を表現した楽曲を集めてみよう。(20分23秒) - カザーブ:
中央アジアの騎馬民族を思わせる「カザーブ」。馬の動きを主題とした楽曲を集めてみよう。(10分52秒) - シャンパーニ:
ピサの斜塔とシャンパンタワーのあいのこ「シャンパーニの塔」。なんと「鉛筆製造業者」の父を持つ「ルビンシテイン」の生涯とはどんなものだったのか見てみよう。(16分49秒) - ○○○○バーク(商人の町):
ニュープリマスともニューハンプシャーともつかない「○○○○バーク」(商人の町)。アメリカの音楽文化の形成過程を体現するとも言われる「コープランド」の楽曲を聴いて、ヨーロッパの音楽と比べてみよう。(9分57秒) - ジパング:
ヨーロッパから見た日本「ジパング」。浮世絵のコレクターとしても知られる「ドビュッシー」の楽曲を聴いてみよう。(8分34秒)
- 鑑賞ワークシート「作曲家年表」:
着目した作曲家の生没年と関連する出来事をまとめた年表を作ろう。 - 鑑賞ワークシート「作曲家相関図」:
着目した作曲家どうしの関係を図に表わしてみよう。
※キツネ用ではありません。
初出:2025年11月1日